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義貞読書録①『深夜特急』沢木耕太郎

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どうも、海外サムライの義貞です。

フィリピンというニッチな国、東アジア文化圏からも外れている東南アジアの中の1国でありながら西欧文化や米国文化に多分に影響されている不思議な国に興味を持つようになったのはセブ留学したことがきっかけでした。

その当時はバックパッカーでもあったので、東南アジアやヨーロッパの一部の国を旅していました。

そういう若い人は昔よりもだいぶ少なくなったのかもしれませんが、自由な旅好きはいつの世も存在します。そんなバックパッカーたちのバイブル的な本が沢木耕太郎の『深夜特急』です。

90年代にはドラマ化もされた本作ですが、この本を読んでバックパッカーになった人は多いですし、私もその中の1人です。「地球の歩き方」を片手にそれほど知られていない観光場所を回ることがカッコいいと思ってしまっていた時期ですね。

『深夜特急』の内容には、ビルドゥングスロマンの香りがします。

ビルドゥングスロマンとは、主人公の性格や思想、人間的成長の過程を描くものですが、80−90年代くらいの時代にはその要素が多分にあったような気がします。

ビルドゥングスロマンといえば聞こえがいいのですが、ある種のマッチョな側面もあります。旅を通しての修養というか、「強くなる」ための旅というか、精神修養的な面がありますよね。

沢木耕太郎のノンフィクション作品や小説には、そのような男性的マッチョな側面を感じ部分が多々あります。

僕もそういう部分に共感する気持ちがありますが、同時に「強さ」を求めすぎるのはどうなのかな、と感じる部分もあります。「強さ」がなりふり構わないものになっていくことには自覚的であった方がいいと思いますし、なにより「強さ」だけを求める修行僧みたいな行いは楽しくないですよね。

僕は音楽や文化とか、楽しいことが好きです。旅も楽しいから旅するわけで、いまや「強くなる」ために旅する人間なんていないだろうと思うわけです。だから「強さ」を他人にも求めすぎるのはよくない。

そういう意味でこの『深夜特急』はすでに時代的な役割を終えた作品なのだなと思います。

 

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